1. 試験概要

目的 症候性のATTR-CM患者を対象にビヨントラ®の長期継続投与における有効性及び安全性を評価する。
対象

非盲検継続投与(Open Label Extension:OLE)適格基準を満たした症候性の野生型又は変異型ATTR-CM患者 389例

方法 flowchart *OLE適格基準:①30ヵ月間のATTRibute-CM試験で治療を完了している。②インフォームドコンセントの書面に署名した。③OLE試験開始前にタファミジスの併用を中止している。④OLE期間中、タファミジス又は他の治験薬との併用を予定していないこと。⑤透析を受けていないこと又は治験責任医師の判断により、患者の安全を脅かしたり、治験に支障をきたす可能性のある重症度の腎障害がないこと。
リミテーション OLEは非盲検であり、真の対照群を欠くため長期安全性データの解釈に避けられない不確実性をもたらす。ATTRibute-CM試験参加者のうち、OLE非参加者の存在は治療効果の推定力を低下させ、また治療効果はOLE参加者の非ランダム性に影響された可能性がある。ATTRibute-CM試験のプラセボ群は、治療効果を得たビヨントラ群と比較し、より大きな病勢進行を経験している。そのため、OLE試験参加者の病勢進行に関するベースライン特性には偏りがあり、治療の推定効果に影響を与えた可能性がある。
主要評価項目
  • 安全性
副次評価項目
  • 全死因死亡割合(ACM)及び心血管症状に関連する入院(CVH)
    ➢ ACM又は初回CVHのベースラインから42ヵ月時点までの複合エンドポイント
    ➢ ACM単独のベースラインから42ヵ月時点までの累積頻度
    ➢ 初回CVH単独のベースラインから42ヵ月時点までの累積頻度
その他の評価項目
  • NT-proBNPのベースラインから42ヵ月時点までの変化量
  • 血清TTRのベースライン(OLE参加時)からの変化量(ATTRibute-CM試験でタファミジスを投与された患者における変化を含む)
解析計画

解析対象集団

  • Full analysis set(FAS):ビヨントラの投与を1回以上受けたすべての患者

解析方法

  • 安全性は、頻度、重篤度、重症度、試験治療との関連性及び試験薬の中止に従って、治療に起因する有害事象を集計することにより評価した。
  • 副次評価項目の結果は、ビヨントラ継続投与群とプラセボ→ビヨントラ群との比較で解析された。臨床的評価項目(ACM及びCVH)は、ATTRibute-CM試験と同様に定義された。CVHイベントには、治療を継続している参加者の42ヵ月目まで及び早期治療中止後30日まで観察されたすべてのCVHが含まれた。OLE試験におけるすべてのACM及び治験責任医師が特定したCVHイベントは、ATTRibute-CM試験と同様に臨床イベント委員会によって判定され、ATTRibute-CM試験では事前の治療割り付けを知ることなく判定された。判定されたイベントは、ACMとCVHの有効性解析の基礎となった。
  • イベント発生までの時間解析は、投与群を説明因子、ベースラインの6MWTを共変量とし、遺伝子型、NT-proBNP値、推算糸球体濾過量(eGFR)のATTRibute-CM試験におけるランダム化層別割付け因子により層別化した層別Cox比例ハザードモデルを用いて行った。
  • 比例ハザードの仮定は、Schoenfeld残差とMartingale残差の両方を調べることによってチェックされた。比例ハザードの仮定に対する大きな違反は、初回CVHまでの時間モデル、初回CVHまでの時間又はACMモデルのいずれにおいても観察されなかった。
  • 解析は42ヵ月目までのデータについて行い、解析にはACM又は初回CVH、ACM単独、初回CVH単独のイベント発生までの時間を含む。これらの解析では治療群別のKaplan-Meier曲線がプロットされた。追跡期間が変わっても治療効果が不変であることを評価するため、36ヵ月目までのデータを用いて同様の解析を行った。
  • NT-proBNPと6MWTのベースラインからの変化を記述的に要約し、ベースライン値からの経時的変化の平均値(NT-proBNPの幾何平均倍数変化)と、標準偏差又は標準誤差をエラーバーで示した。TTR安定化のin vivoサロゲートである血清TTRも、2つのコホートでベースライン(OLE参加時)からの変化として解析された。QOLは、KCCQ-OSスコアによって連続的に評価された。

患者背景*1

OLE試験に登録され、非盲検でのビヨントラ投与を少なくとも1回受けた参加者*1:値は最初の非盲検でのビヨントラ治療前に行われた欠落のない最後の評価値

2. 安全性[主要評価項目]42ヵ月

  • 42ヵ月時点で有害事象は87.1%に認められ、そのうち治験薬との関連性が否定できない有害事象は1.1%でした。
有害事象の発現状況の概要治験薬の投与中止に至った有害事象、重篤な有害事象、死亡に至った有害事象の内訳は、論文中に記載がなく、BridgeBio  Pharma, Inc.も該当のデータを非公開としている。また、安全性情報については最新の電子添文を参照すること。

3. 有効性 42ヵ月

全死因死亡又は心血管症状に関連する初回入院の累積頻度の複合エンドポイント[副次評価項目]

  • ビヨントラ継続群はプラセボ→ビヨントラ群と比較し、42ヵ月時点までで2構成要素のイベント発現リスクが43%低下しました。
全死因死亡又は心血管症状に関連する初回入院までのKaplan-Meier 曲線Judge DP, et al. Circulation. 2024: Epub ahead of print.より一部改変 [COI:著者のなかにはAlexion Pharmaceuticals, Inc. 及びAstraZeneca plc., BridgeBio Pharma, Inc. よりコンサルティング料等

全死因死亡[副次評価項目]42ヵ月

  • 36ヵ月時点まででビヨントラ継続群とプラセボ→ビヨントラ群に有意差が認められました。
  • ビヨントラ継続群はプラセボ→ビヨントラ群と比較し、36ヵ月時点、42ヵ月時点までの各期間で全死因死亡のリスクがともに36%低下しました。
全死因死亡のKaplan-Meier曲線Judge DP, et al. Circulation. 2024: Epub ahead of print.より一部改変 [COI:著者のなかにはAlexion Pharmaceuticals, Inc. 及びAstraZeneca plc., BridgeBio Pharma, Inc. よりコンサルティング料等を受領している者が含まれる]

心血管症状に関連する初回入院までの期間[副次評価項目]42ヵ月

  • ビヨントラ継続群はプラセボ→ビヨントラ群と比較し、42ヵ月時点までで心血管症状に関連する入院リスクが47%低下しました。
心血管症状に関連する初回入院までのKaplan-Meier 曲線Judge DP, et al. Circulation. 2024: Epub ahead of print.より一部改変[COI:著者のなかにはAlexion Pharmaceuticals, Inc. 及びAstraZeneca plc., BridgeBio Pharma, Inc. よりコンサルティング料等を受領している者が

NT-proBNPのベースラインからの変化量[その他の評価項目] 42ヵ月

  • 42ヵ月時点のNT-proBNPのベースラインからの倍数変化の幾何平均は、ビヨントラ継続群で1.10、プラセボ→ビヨントラ群で2.29でした。
  • ATTRibute-CM試験で確認された両群の差は、OLE試験において下図の通りに推移しました。
NT-proBNPのベースラインから42ヵ月時点までの経時的な変化量Judge DP, et al. Circulation. 2024: Epub ahead of print.より一部改変[COI:著者のなかにはAlexion Pharmaceuticals, Inc. 及びAstraZeneca plc., BridgeBio Pharma, Inc. よりコンサルティング料等を受領している者が含まれる]

プラセボ+タファミジス群がビヨントラに切り替えた際の血清TTRレベルの変化量[その他の評価項目] 36ヵ月

  • プラセボ+タファミジス→ビヨントラ群における血清TTRレベルの平均変化量は、OLE試験開始時(ATTRibute-CM試験30ヵ月時点)と比較して上昇し、1ヵ月時点で3.0mg/dL、6ヵ月時点で3.4mg/dLでした2)
ATTRibute-CM試験終了時(30ヵ月時点)における血清TTRのベースラインからの変化量3)対象:症候性の野生型又は遺伝性ATTR-CM患者632例方法:被験者は2:1の割合でビヨントラ又はプラセボ群に無作為に割付けられた。両群の被験者はそれぞれビヨントラ及びプラセボを1日2回服用した。また、両群の被験者は試験開始12ヵ月後に非盲検でタファミジスを開始することができた。プラセボ+タファミジス→ビヨントラ群のOLE試験開始から1ヵ月及び6ヵ月時点における血清TTRの変化量2)対象:OLE試験参加者のうち、ATTRibute-CM試験でビヨントラのみの投与を受けていた348例及びプラセボ+タファミジスで投与を受けていた46例方法:ATTRibute-CM試験で被験者は2:1の割合でビヨントラ又はプラセボ群に無作為に割付けられた。両群の被験者には、試験開始12ヵ月後に非盲検でタファミジスを開始することができた。30ヵ月目が終了した時点で、被験者はOLE試験への参加を求められた。OLE試験では、ビヨントラ投与歴のある患者はビヨントラ投与を継続し、プラセボ+タファミジス投与歴のある患者はビヨントラのみの投与に切り替えられた。OLE試験では全例がビヨントラのみの投与を受けた。データカットオフ(2023年10月9日)におけるATTRibute-CM試験とOLE試験の血清TTRレベルの変化を記述統計を使って整理した。
  1. 2)   Maurer M, et al. European Heart Journal. 2024; 45(Suppl 1) : ehae666.2088.
         [COI: 本研究はBridgeBio Pharma, Inc. の資金提供により行われた]
  2. 3)   社内資料:臨床的有効性の概要(承認時評価資料)

電子添文は、こちらよりご覧いただけます。

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