トランスサイレチン(TTR)にはV122I、T119M等の変異体があり、四量体の解離速度が速いもの(例:V122I、L55P)はアミロイド形成を促進しますが、解離速度が遅いもの(例:T119M)はアミロイド形成に抑制的に働きます1)。同定された変異体の中でも、T119M変異はTTR四量体を本来構造の37倍安定化させることが報告されており*1、「疾患保護遺伝子変異体」として知られています1)。
*1:野生型TTR の四量体半減期が42時間、T119M変異TTRの四量体半減期が1534時間という研究結果から、37倍長い四量体半減期を持つT119M変異を本来構造の37倍安定化と表現しています。

TTRの遺伝子変異型と予後について検討した研究では、T119M変異保持者では非保持者と比較して、血漿TTRレベルが高く(p=0.007、Mann-WhitneyのU検定)、脳血管疾患の発生率が低い(p=0.005、log-rank検定)という報告があります(海外データ)2)。

サイロキシン結合部位内では、外側における結合と、中心部における結合を形成しています。 この中心部におけるビヨントラ®固有の結合は、T119M変異を模倣しており、四量体をより緊密*2に結びつけます1)。
*2:生理状態の野生型TTR四量体と比較

1)Hammarström P, et al. Proc Natl Acad Sci USA. 2002; 99 Suppl 4(Suppl 4): 16427-16432.
2)Hornstrup LS, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2013; 33(6): 1441-1447.